Jリーグ開幕の影響を受けて低迷期を脱してプロ野球人気は復活

グローブとバットとスタジアム

昭和時代から1992年(平成4年)まで、日本におけるメジャースポーツはわずかでした。

プロ野球・バレーボール・相撲などがメジャースポーツとして存在していましたが、全日本バレーボールチームの試合や大相撲の場所は年間を通じて絶え間なく開催されているわけではありません。

つまり、春から秋までシーズンが続くのはプロ野球だけで、大半の国民が毎日NPBに夢中になっていました。しかし、1993年に入って大きな変化が起こります。

元サッカー日本代表の川渕三郎氏総指揮のもとで地域密着型のプロサッカーリーグ・Jリーグが発足します。当時のプロ野球界は親会社の宣伝を大きな目的として存在していたところがあり、チーム名に地域名が入っているのはわずか4球団のみでした。一方、Jリーグ全クラブには地域名が入っているため地元住民達は感情移入しやすく、地元経済の活性化などが大きなモチベーションとなって各地で熱い応援が繰り広げられました。
1999年にJ2リーグが開幕するなど裾野はどんどん広がって、一時期、プロ野球界はかなりの危機に陥っていた時期があります。

しかし、Jリーグの人気の秘訣は地域密着型の理念にある事を悟ったプロ野球関係者は、サッカー界の成功をヒントに様々な改革を行っていきました。

一番わかりやすい例と言えるのが、地域住民達に応援してもらいやすいようにと、各球団がどんどんチーム名な地域名を入れるようになった事です。その結果、現在では改称により正式チーム名に地域名が入っているケースが過半数を超えています。
さらに、球団関係者はチーム名に地域名を入れるだけでなく、昔とは比べ物にならないくらい地元での普及活動にも日々尽力しています。

そういった努力の結果、プロ野球人気は完全に復活しました。例えば、札幌・仙台・福岡などではJリーグクラブを遥かに凌ぐ人気を獲得しており、サッカーが完全に野球の陰に隠れてしまっています。さらに、もともとプロ野球界唯一の市民球団だった広島カープもJリーグをお手本に普及活動を進めた事で新規ファン獲得に大きく成功しました。
「カープ女子」という言葉も大流行するなど、特に若い女性層からの人気アップが目立ちます。